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三浦直之 自作解説①

「いつだって窓際であたしたち」自作解説

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教室の窓際のカーテンの中という狭い空間と、Googleマップという広い空間を重ねてみたいと思ったのが、たしかきっかけだったはず。話の構成みたいなのは考えずに、とにかく書きたいシーンを数珠繋ぎのように書いていった。昼休みの賑やかで少し気だるい空気感だけで60分を満たしたかった。なので、いつ高全作品の中で一番上演難易度が高いと思う。

この作品を書く少し前に、初めてアメリカへ旅行に行った。たった一週間ちょっとの旅行にも関わらずホームシックになってしまい、ずっとホテルに籠ってGoogleマップで、日本にある自分の家やその周辺を散歩して過ごした。次第に散策の範囲は広がって、稽古場や劇場にも足を伸ばすようになった。こまばアゴラ劇場へ行ってみると、偶然、ロロの『ハンサムな大悟」の公演期間中で、ロビーで開演準備をする人たちの姿が映り込んでいた。いつ高シリーズのベースはこの体験にある。アメリカに来たはずが日本を旅して、そしたら思いもよらず過去の自分と再会を果たす。そういうフィクションが作りたくて、いつ高シリーズを書いている。

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僕は食べる順番を考えながら過ごしてる時が一番好きなので、シューマイの崎陽軒のセリフはいまだに気に入っている。このセリフにグッときた人は、おおひなたごう『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』をぜひ読んでほしい。食べ方グルメ漫画の大傑作です。食べ方とは世界観なので、世界観と世界観のエキサイティングなぶつかり合いがみれます。そういう意味ではバトル漫画でもあるかもしれません。

ネットでたまたま出会った縦スクロールの漫画で、高校生がカーテンの中に入ったら宇宙が広がっていて……という話があり、それにも多大な影響を受けたのだけど、タイトルも作者名も失念してしまったので知ってる人がいたら教えてください。